VOL.8 慕情 “神戸須磨張り子”

“張り子”なんて、数年前までは全く興味なかってんけど、日本の古いモンに興味を持ちだして民藝について色々調べてた時に出会った張り子が、なんか素朴で可愛いくてね。
兵庫県にも“姫路の張子”があるのは知っとったから、何とか店で取り扱いたいなぁと思っててんけど、なかなか辿り着けんくてね。
このコラムに良く出てくる、神戸ファッション協会のサカイのおっちゃんにも頼んでんけど、それでも難しかったなぁ。別に諦めたわけやないんやけど、その時色々調べとったら“神戸須磨張り子”っていうのが有るのを知ってん。そしたら偶然、海岸通の“じばさんらんちき”から歩いて5分ぐらいのモトコーのギャラーリーで個展をやってはってね。
こういう偶然って僕、小さい時から良くあるねん。興味持った物に偶然出会ったり、それがめっちゃ流行ったりするねん。何でかは、分からんねんけど一種の才能かな?
善は急げってことで、個展を見に行ってんけど、初めて実物見て、キュン!てなったわ。
何とも素朴で愛らしい表情、ベタな言い方やけど温もりを感じるっていうのかな?
それが“神戸須磨張り子”との出会い。
それから六甲山の麓にある工房へ遊びに行かせてもらって、色々お話を聞かせてもらってん。張り子は、商人の大福帳の使い古し(反古紙)を活用して広まった郷土玩具やねんけど、今は反古紙がなかなか集まらんくて困ってるって言ってた。今の和紙では、なかなかエエ雰囲気が出えへんねんて。
郷土玩具の張り子に魅せられて、色々な張り子の産地を巡り探求して、自己流で30年近く神戸須磨張り子の制作を続けているおじいちゃん。その昔は、中学校の理科の先生やってんて。
好きやって気持ちだけで30年モノづくりが続けられるって凄いわ!
今どきの作家さんてどうなんやろね?
もともと神戸にはない張り子やけど、新たな神戸の名物になって欲しいね。
張り子の作品もそうやねんけど、作ってるおじいちゃんが、何ともエエ雰囲気で心を和ませてくれるわ。
人柄って作品に表れるよね。
産地の方々との触れ合いは<COMEPASS_じばさんぽ。▲>でも連載しています。