VOL.11 平穏 “丹波竹細工”

僕が産地訪問をしていく中で意識するようになったのは、気兼ねなく日常に使えるモノを仕入れたり作ること。もちろん観賞や収集として素晴らしい工芸品は有るけど、僕が探し求めるのは日用品。
兵庫県の伝統工芸品と来れば、代表的な物に“有馬籠 (ありまかご)”がある。
これは当時、兵庫県のモノづくりについて、まだまだド素人だった僕でも知っていた素晴らしい逸品。
産地に出向きだした初めの頃、改めて手に取った有馬籠は凛としていて、軽いはずの竹籠にずっしりと重みを感じた。そしてこの品はまだ僕には高嶺の花やなと...。
そこから兵庫県下で、竹細工を探し求める旅が始まった。
色々な人に紹介してもらったり調べたり、特に僕が探し求めたのは、麺好きが高じて淡路島の金山製麺さんといっしょに作った“手延べ乾かし麺そろそろ▲”を盛り付けるのに適した笊。
夏場に冷やしで食べる「そろそろ」は最高、氷水にさらした「そろそろ」をザッと笊にあげてそのまま食卓へ。水に濡れようが気にしない気兼ねなく使える丈夫でカッコエエ笊。
ネットを開けたら色々な情報は出てくるけど、産地訪問を続ける中で一番大事なのは、人と人の繋がり。
丹波に移住して頑張ってる“キャリー焼菓子店 ▲”の若き主人が開いている朝市で、目に留まった籠にひと目惚れして購入。そこで竹細工をやっているおっちゃんを紹介してもらった。
店を構えているわけでもなく、作業場が有るわけ訳でもない。ガラケーの番号だけが頼りで、一応アポは取ったけど居るかどうかも分からん状態で訪問。案の定迷った挙句電話は不通。ぽつぽつある家を一軒ずつ覗いていくとガレージでゴソゴソやってるおっちゃんが。
「ごめん電源切れとったわー 笑」
これがおっちゃんとの初めての会話やった。
ガレージで作業をしながら話をしてくれたのは、その昔この辺では日常に使う道具として、竹籠や笊は必要不可欠で生活の一部として編んでいたこと。その延長線上で農業の閑散期には、町で売るお土産用に竹を編んでいたこと。
やったー!!!
僕が探し求めていた物はココにあった。
産地の方々との触れ合いは<COMEPASS_じばさんぽ。▲>でも連載しています。